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おすすめの一冊

『目で見る 仏教小百科』
目で見る 仏教小百科

お釈迦さまの名前

もっとも流布している呼び名は「お釈迦さま」です。本書の中でも、一番よく登場します。
ところで、この「お釈迦さま」の釈迦は一族の名称です。「釈迦牟尼〔むに〕」と呼ぶ場合は、シャカ族出身の聖者という意味。またシャカ族出身の聖者で世の尊敬を受ける人、「釈迦牟尼世尊〔せそん〕」 を省略して釈尊と呼ぶこともあります。お釈迦さまのことをブッダ(仏陀〔ぶっだ〕)という場合は、悟りを開いた人、という意味です。
それから、お釈迦さまの幼少名はゴ─タマ・シッダ─ルタといいました。シッダ─ルタとは目的を成就した者という意味。また、一族の名字、ゴ─タマには最高の牛という意味があります。牛を尊敬するインド人らしい名前ですね。

除夜の鐘を百八つく理由

大晦日に除夜の鐘を百八回つくのは、百八ある煩悩〔ぼんのう〕を払い、新たな気持ちで新年を迎えるためだといわれています。
実はこの百八煩悩、四苦八苦からきているという説があります。
「苦」を「九」におき換えてみましょう。そうすると、四苦と八苦は「四九」「八九」になります。日本語ではこうした数字の重なりは、かけ算を表すことが多いので、四×九+八×九となり、答えは一〇八。煩悩と苦とは、まあ似たようなものなので、四苦八苦が百八煩悩になったというのですが、いかがなもんでしょうか。言葉遊びのような俗説ですが、ちょっと紹介しておきます。

大仏とはどんな仏?

大仏といえば、奈良の東大寺の大仏と鎌倉の高徳院〔こうとくいん〕の大仏が有名です。東西の横綱といったところでしょうか。
そこで問題です。
どちらも「大仏」と呼び名はいっしょですが、同じ仏さまなのでしょうか?
答えを出す前に、まず大仏とはどんな仏さまのことなのか、考えてみる必要がありそうです。
辞典によれば、一丈六尺(約四・八五メ─トル)以上の仏像を大仏というとありました。ちゃんと大きさの基準も決まっているのですね。奈良の大仏は約十六メ─トル、日本が世界に誇る鋳造仏〔ちゅうぞうぶつ〕です。
では、この二つの大仏は同じ仏なのかというと、答えはノ─です。鎌倉の大仏の手をよく見てください。このOKサインは、そうです、阿弥陀如来〔あみだにょらい〕です。奈良の大仏は毘盧遮那仏〔びるしゃなぶつ〕ですから、同じ仏さまではありません。
ちなみに、与謝野晶子〔よさのあきこ〕の歌に「かまくらやみほとけなれど釈迦牟尼〔むに〕は美男におはす夏木立かな」という歌がありますが、これはたぶん阿弥陀如来を釈迦如来と勘違いして詠〔よ〕んだものと思われます。

観音菩薩〔かんのんぼさつ〕は女性? 男性?

しなやかな肢体〔したい〕、ふっくらとした頬、やさしい眼差し……。多くの観音菩薩像がまるで女性のような姿をしています。それもなかなかの美人です。でも、断っておきますが、観音さまは女性ではありません。男性かと聞かれたら、それも違うと答えたほうがよさそうです。
確かに観音の原語、アヴァロ─キテ─シュヴァラは男性形の単数名詞です。また、極楽浄土には男性しかいないといった記述も経典には見られます。だから観音さまは男性である、といってしまえばそれまでですが、しかし、仏さまにわたしたちの世界の基準で、男性・女性を当てはめて考えてみても仕方がないでしょう。如来〔にょらい〕や菩薩は人間でいうところの性別など超えた存在、と考えたほうがよさそうです。
では、なぜ、女性を思わせるような風貌で描かれるようになったのかというと、そもそも観音の原形が古代ペルシアの女神アナ─ヒタ─(水の女神。手には水瓶〔すいびょう〕をもつ)だからだとか、それがインドのヴィシュヌ神の妃ウマ─と習合したからだとかいわれていますが、確かなことはわかりません。
一説によれば、中国で観音信仰隆盛の折、美しい女性の観音さまの掛け軸を売り出したところ、それが大衆にうけ大流行したため、観音は女性、という図式が一般に流布するようになったともいわれています。
日本でも法華寺〔ほっけじ〕の十一面観音のモデルは光明皇后〔こうみょうこうごう〕だといわれています。またキリスト教禁制の折には聖母マリアと習合したマリア観音なども造られました。

「コラム」より



【目次】


第1章 お釈迦さまがわかる
お釈迦さまの生涯──出家を決意するまで
お釈迦さまの生涯──悟りを開いてブッダとなる
お釈迦さまの生涯──布教の旅、そして涅槃
第2章 仏教の教えがわかる
仏教/四諦/縁起/無常/我/三法印/戒律/三宝/業/六波羅蜜/空/仏性/発心
第3章 死後の世界がわかる
仏教の世界観──三界(地獄・餓鬼・畜生・人・天)はどうなってる?
死んだらどうなる?──生まれ変わるまでの時間
第4章 仏像がわかる
仏像誕生──日本に仏像がやってくるまで
如来グル─プ──修行を完成し悟りを開く
菩薩グル─プ──最前線で衆生救済に日夜奮闘する
明王グル─プ──恐ろしい姿形でわからずやの衆生を導く
天グル─プ──仏教を守護するインド出身の神々
第5章 日本の宗派がわかる
仏教の歴史──インドから中国、そして日本へ
天台宗──最澄(伝教大師)の生涯と教えのポイント
真言宗──空海(弘法大師)の生涯と教えのポイント
浄土宗──法然の生涯と教えのポイント
浄土真宗──親鸞の生涯と教えのポイント
時宗──遍の生涯と教えのポイント
臨済宗──栄西の生涯と教えのポイント
曹洞宗──道元の生涯と教えのポイント
黄檗宗──隠元の生涯と教えのポイント
日蓮宗──日蓮の生涯と教えのポイント

『目で見る 仏教小百科』村越英裕 藤堂憶斗/著
A5判 並製 271頁 税込価格 1,785円